はじまりの記憶~Side:ナユタ~

艦これの二次創作だよー!嫌いな人はタブ閉じようね!


あれは 何が起きたんだ

やだよ・・・沈みたくない・・・

火薬の臭い 油の臭いが立ち込める港

目の前の この光景は何なんだ

ちっ、この程度で消えるとは使えない奴だ―――

やめろ

まあ、奴らは追い払えたから良しとするか

何が良いものか 仲間が一人死んだんだぞ

仲間?アレを仲間だと?お前は何を言っている?アレは兵器であって人間じゃない

・・・・・・

事後処理の邪魔だ、あっちに行ってろ小僧

・・・ふざけるな

何だと?

ふざけるな!彼女たちは生きているんだ!物なんかじゃない、人間だ!そんな事も分からないような奴が軍人を名乗るな!

貴様・・・父親が幹部だからと調子に乗りおって・・・!そこに直れ、改めて海軍精神を注入してやる!

やれるものならやってみろ、人間のクズが!

おのれ・・・!






聞いたか?垓大将の倅の噂・・・

ああ、確かまだ9歳なのに紬中将が艦娘を轟沈させた事を糾弾し、その事に逆上して海軍精神を注入しようとしてきたのを返り討ちにして再起不能に追い込んだんだっけ?恐ろしい奴だ

まあ正直よくやってくれたよな、紬の奴めったやたらと偉そうにしてばっかだったし天罰が下ったんだろうよ

馬鹿、言葉を慎め!

・・・あっ!

構うものか、俺は俺が正しいと思った事を行動に移したまでだ・・・




―――またあの夢を見た。10年前、俺がまだごく普通の軍人の子供だった頃のこと。

仲良くしていた「艦娘」の一人が目の前で海に沈んでいった光景。海軍の者となった今でも脳裏に焼き付いて離れない・・・

『おう、珍しく起きるの遅かったじゃん?』
同僚の羽角の声だ。10年前のいわゆる「紬事件」の当事者である俺の事を尊敬しているらしい。正直いい迷惑だが・・・悪い奴じゃない。

「・・・あの時の事が夢に出てきたんだ」
『あー・・・そっか、今日でちょうど10年だもんな』
「で、わざわざ起こしに来た理由は何だ」
『いっけね!お偉いさんがたがお前を呼んでるんだとさ!』
「何だ・・・まさかまだ警戒してるのか・・・?」
『違うと思うぜ?何か異動がどうのって言ってたし』
人事異動?まあ紬事件以来上層部の連中はやたらと俺を警戒してたようだが・・・親父が死んだからここぞとばかりに左遷するつもりか・・・?

「とりあえず廊下で待っててくれ、着替えの邪魔だ」



『那由多少佐、貴殿には鹿屋の---にてスズシロ少将と共に艦娘の指揮に当たって貰う事になった』

艦娘たちの司令官となれ。一見するとただの少佐からの昇進にも見えるものの、その配属先は鹿屋とはいうがその中でも辺境もいいところ―――ろくに艦娘の配備もされていないであろう場所―――案の定厄介払いである。まあ一緒に飛ばされる奴は巻き込まれてお気の毒といったところか。

『それでだな、着任にあたって―――』
「はいはい、御大将さま直々の指令、ありがたく頂戴致しましたよっと」
『おい、待て!待たんか馬鹿者!』
用件は聞いた。どうせ後は形式的な注意事項だ、聞くまでもない・・・
『共に任に就く鈴代少将について―――』




とりあえず持っていく荷物の整理は済んだし、これで当分の間忌々しい連中の顔を見ずに済むな。艦娘達とは・・・まあ何とかやっていけるだろう。
それより気になるのは一緒に行動することになるであろう「スズシロ」という人物だ。よりによって海軍の鼻つまみ者の俺と一緒になるとは、いったい何をやらかしたんだか・・・
待てよ?そういえば技術班の誰かが言っていた「艦娘としての高い素質を持ちながら艤装に適性のない少女」の名前が・・・いや、気のせいだろう。

『ナユター、そろそろ出発すんぞー!』
「おう、今行く!」

考えても始まらない。とりあえずは羽角の手を借りて異動先に向かうのが先決だ。





『うっわ、こいつはひでぇな・・・嫌がらせが過ぎんだろ!』
「・・・案の定、といったところか」

どうせあの連中のことだ、施設もろくに整備していないだろうとは思っていたがまさかこれほどとは。
建物自体の保存状況は悪くないのだがとにかく埃が酷い。数年単位で掃除していないんじゃないだろうか・・・。

『手伝おうか?』
「いや、大丈夫だ。あまり俺と一緒にいるとお前まで左遷されかねんぞ」
『本当に大丈夫か?』
「大丈夫だっての。ほら、あいつらに目を付けられる前に戻れ」
『・・・すまんな』

この様子だと艦娘も「スズシロ」もまだ来ていないようだ・・・よし、今のうちに少しでも掃除をしておこう。念の為に清掃用具を準備しておいて正解だったな。



「・・・よし。これでこの部屋に居られるようにはなったか」
とりあえずこれで入口から執務室らしき部屋までの動線と執務室内は綺麗になったはずだ。できれば他の部屋も掃除したい所・・・だが入口のほうに誰か居るようだ。艦娘か?


「おい」
『はわわ!?』
そこに居たのはまだあどけなさの残るセーラー服姿の10代前半の少女だった。しかしその背中には物々しい艤装を装備している―――
「艦娘、か」
『・・・は、はいっ!電(いなずま)ですっ!』
ちょっと半泣きなのは俺の顔が怖いからだろう・・・。羽角からは「威圧感だけは戦艦以上」と言われるし・・・よくよく考えれば失礼な奴だな。
『えっと、あなたが那由多さんですか?』
「ああ、そうだ。これから宜しくな・・・電」
『はい!よろしくお願いします!』



「しかし【スズシロ】さんはいつになったら来るのかね」
『はわわ・・・もしかしたら迷子になってるかもしれないのです』
「いい歳して迷子か・・・まったく」
『・・・えっと、那由多さん?』
「どうした?」
『あの・・・その様子だと知らないみたいですけど、鈴代さんは電より年下なのです』

・・・年下?

「・・・え?」
『やっぱり知らなかったのですか?偉い人から説明を受けてたとばかり思ってました』
「あー、どうせ下らん注意だろうと思って聞いてなかったな。・・・もし迷子だとしたら探しに行ったほうがいいか」
『嫌でも大事なお話は最後まで聞くべきなのです・・・あ!あれは!』

向こうから姿を現したのは・・・電と同じようなセーラー服を着た少女だ。だが艦娘のトレードマークたる艤装を着けていないという事は―――
『ふー、やっと戻ってこれた!』
誰にともなくそう言いつつ溜息をつく少女。
「あれが・・・鈴代?」
『なのです』




『それでね、誰も来なくてつまんなかったからお散歩してたら迷っちゃったの』
「そうだったのか、てっきり遅れているのかと・・・」
『鈴代さんくらいの歳の子が一人で出歩くのは危ないのです』
「お前が言うか」

どうやら鈴代は俺より先に着いていたらしく、一人で退屈だったので周囲を見て回ろうと思ったら迷子になったようだ。
・・・これから大丈夫なのだろうか、早速暗雲が立ち込めてきたような・・・

「ところで、ここに所属している艦娘は・・・?」
『今のところ電だけなのです』
「一人・・・だけ・・・?」
『・・・なのです』
『だいじょーぶだいじょーぶ、何とかなるよ!』
「・・・・・・」
『あ、忘れてたのです!どうぞ、艦娘についての資料なのです』

前々から独学で学んではいたが・・・こういう資料があると助かるな。

「ふむ・・・とりあえず新規に艤装の建造をすれば良いのか」
『はい。工廠で妖精さん達にお願いするのです』
「今ある資材の量を考えると・・・とりあえず最低量での建造だな」
『了解です!では行きましょう!』



「そろそろ艤装が完成する頃か?」
『あとは適合者の到着を待つだけなのです』
『・・・・・・』
「鈴代、どうかしたのか?」
『にゅ?な、何でもないよ』
「そうか・・・ん、到着したみたいだな」


『貴方が此処の提督さんっぽい?』
「いや、一応こっちのちっこいのが司令官だ」
『いちおう・・・』
『私は白露型駆逐艦の4番艦、夕立よ。えっと』
「俺は那由多。んでこっちが鈴代だ」
『よろしくね、鈴代司令官とお父さん!』
「おと・・・」
『ぷっ・・・くく・・・』
「何がおかしい」
『実は電も最初お父さんって呼びそうになったのです』
「・・・ともかく、これで形だけだが『艦隊』ができた訳だな」
『これからすごく大変かもしれないけど、皆で頑張るのです!』
『おー!』
『っぽい!』
「そうだな、改めてこれから宜しく頼む」


「・・・とその前に、建物の中を徹底的に掃除しなきゃならんのだよなぁ」
『ぽい・・・』




―――提督が鎮守府に着任しました―――




※注釈
「紬(ツムギ)事件」・・・設定におけるナユタや一部艦娘のトラウマとなっている「10年前の事件」のこと。当時艦娘を指揮していた紬中将は9歳のナユタに自分の責任を追及されて逆上、口を封じようとするも返り討ちに遭って二度と歩けない身体になった。
これ以来ナユタは上層部から「小さき魔狼」と恐れられるようになったとかならないとか。

「羽角(ハズミ)」・・・階級は少佐。ナユタと同時期に海軍に入ったお調子者。性格は軽いが能力は本物で既に輸送部隊への配属が決まっている模様。
弱冠9歳にして現役軍人を再起不能に追い込んだナユタをマジリスペクトしているらしい。羽角も充分強いのだが能ある鷹はなんとやら。
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ドルヴャベーグの人(仮)

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某所での誤字を発端とするドルヴャベーグと中の人の反応速度を活かした(?)罠テロを持ちネタとしていたチキン野郎。野良こわい。

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