あの子が戦場に立った訳(1)

事故満足ですヒャッハー
割と誤字じゃない件について
『お嬢様、お目覚めのお時間です』
感情のない無機質な音声に眠りを覚まされた。毎日のこととはいえ、やはり気持ちのこもっていない声は嫌なものだ。

『おはよう、シア』
リビングに出るとこちらに気付いた父親が薄気味悪い笑みを浮かべた。相変わらず虫唾の走る声だ。
「おはようございます、お父様」
これがずっと苦痛で仕方ない。こんなヒトをヒトと思わないような奴の血が自分にも流れていると思うと―――

何か考えているのに気付いたのか、父親が口を開いた。
『どうした?』
「いえ、何でもありません」
『そうか・・・。

そういえばあのバカが姿を消してもう1年になるのか』
不意に父親がつぶやいた。
「ですね・・・気分が優れないので部屋に戻ります」
顔をしかめた事に気付かれぬよう、すぐに踵を返してリビングを後にした。

(・・・よくも自分の娘をバカ呼ばわりできるわね)
そう。去年のこの日。私のお姉ちゃんはこのフローレント家からいなくなった。



『ごめんね、シア』
「謝らないで。ほら、見張りが気付く前に・・・」
あの日の事は今でも憶えている。『フローレント家の繁栄のため』政略結婚させられそうになったお姉ちゃんはこの家を捨てることを決めた。できることなら私も一緒に行きたかったけれど、私までいなくなれば私たちの世話役であるヴィオラがどういう目に遭わされるか分からない。口は悪いけれどとても優しい彼女のことを思うと私は逃げる気にはなれなかった。
それに、まだ私は13だ。そうすぐに政略結婚させられる事もない。また機会を窺えばいいのだ。
この時はそう楽観視していた。



『おい、シア』
部屋で物思いに耽っていると背後からヴィオラの声がした。
『まずいぞ』
その声はかなり焦っている様子だった。
「まずいって、何が?」
『あのクソ親父、お前をさっさと嫁がせるつもりだ』
その言葉に背筋が凍えた。

「なっ・・・!まだ私は・・・」
『お前はまだ14だから正式に籍は入れられない。だがな・・・わかるだろ』
・・・絶対外に出られない、今以上に不自由な生活。そして・・・それ以上は想像もしたくない。
「そんなの・・・絶対に嫌」
『だと思った。それで?』
どう動くか分かっているとばかりの言葉に一瞬戸惑った。
「どう、って」
『あたしの事は心配しなくていい。シアが出ていくならあたしがここに居る理由もないからな・・・というかもうアレは二度と御免だ』
「・・・この家を、捨てる」
ずっと思ってきた事を口にした途端、急に気が楽になった。
『よし、それじゃいつ決行する?猶予はもう少ないぞ』

そして、これが私の冒険の始まりとなった。
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ドルヴャベーグの人(仮)

Author:ドルヴャベーグの人(仮)
某所での誤字を発端とするドルヴャベーグと中の人の反応速度を活かした(?)罠テロを持ちネタとしていたチキン野郎。野良こわい。

Twitter:suzushiro_arks

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