あの子が戦場に立った訳(3)

以前誰かさんの事をアグレッシヴとか言ってたがこっちはこっちで危なかった
「ルート変更って・・・どういう事?」
突然の予定変更に戸惑わない筈があるだろうか?ともかく、その理由を尋ねるとヴィオラは黒い小さな機械を取り出した。
「これは・・・まさか!」

盗聴器だ。誰が仕掛けたかは想像するまでもなかろう。
『何か最近違和感を感じるもんでな、あたしの女中服をもう一度よく調べてみたら・・・これが出てきた訳だ。おそらく脱出計画は筒抜けだろうな』
「じゃあ、どうやって・・・」
『なに、昼間のうちに仕込みは終わらせてある。それよりホラ、シアの分の武器』
ヨウメイ製の長弓「アルテイリ」と製造元不明の長杖「クラムホルン」・・・まあ、実戦経験が皆無の私が扱えるのはこの位が限界が。
『所有者登録情報を消去してあるから、今のうちに登録し直しとけ』
一緒に渡されたナノトランサーを左腕に装着した。改めてもう後戻りはできないんだと実感する。
「・・・ねえ、仕込みって一体」
どうやって逃げるのかと聞こうとした、まさにその瞬間。

どんっ。どんっ。

突如屋敷に響き渡る轟音。かすかな火薬の臭い。そしてざわめき立つ見張り達。
「っ、一体――――!?」
『説明は後だ!行くぞ!』
何が何だか理解できないまま、私はヴィオラに引っ張られるように部屋を飛び出した。

どんっ。どんっ。
轟音は幾度も響き渡る。気のせいか廊下が煙たい。
「爆発・・・!?何で!?」
『しっ!周りに気付かれる!』
慌ただしく行き交う見張り達の隙間を抜けるように駆け抜けていく。映画とかアニメでよく見る光景だが、今目の前の光景は何が何だかまるで分からない。

『ハァ・・・ハァ・・・こ、ここまで来りゃ誰も気付かんだろ・・・』
「ハァ・・・ハァ・・・っ!!」
ここは最初の脱出計画の目的地店とは真逆の方向だ。全力で走り抜けてきたものだから息が上がりきっている。気を抜けば膝から崩れ落ちそうだ・・・
『・・・ふぅ、ゲホゲホッ』
「っ・・・説明、してよ・・・ね」
『んとな、その・・・武器庫にあった火薬をくすねて・・・発破をな』
あの爆音は発破の音だったというのだ。
『ほんとの狙いが分からないようにあちこちに仕込むの大変だったんだぜ・・・』
「ほんとの狙い?」
ヴィオラがおもむろに壁の方を指差す。

「あっ・・・」
そこには壁に大きな風穴が開いていた。出来立てなのか、まだ微妙に土煙が立っている。
『ここ以外にもフェイクをいくつか開けてある。あたし達がどこから逃げたか分からなくする為にな』
何とも大胆と言えば大胆だ。しかしこれほどの仕掛けに気付かないとは・・・あいつは私が思うほど頭は良くないのか?
『さ、見つからんうちにさっさとトンズラこくぞ!』


そして、私とヴィオラはフローレントの家を捨てた。
ヴィオラの言っていた通り、街の人たちは私がシア・フローレントだと知っても顔色一つ変えず接してくれた。そして意外なことに、あの男は私の捜索を早々に断念したそうだ。
『・・・何か嫌な予感はするけどな、まあコソコソする必要がないからいいか!』
「うん・・・」
そうしてしばらくの間はヴィオラの家で暮らすこととなった。


・・・あの男はもしかしたら最初から私の存在などどうでもよかったのかもしれない。
すべて終わった今となってはそんな気すらするのだ・・・。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

こんにちは。更新お疲れ様です。

アグレッシヴというより、臨場感が半端ないですね…!緊張感が伝わってきます。
あ、やっぱりアグレッシヴです。

お金持ちの家に生まれた子どもは大変ですね…と創作共感(?)

それでは~

Re

こんばんはー。

アグレッシヴなのはむしろヴィ・・・いえ何でもナイデスヨー
「お金がある=幸せ」ではないというイメージから自然と裏を作ってしまうのが僕の悪い癖でしt(ry

では
プロフィール

ドルヴャベーグの人(仮)

Author:ドルヴャベーグの人(仮)
某所での誤字を発端とするドルヴャベーグと中の人の反応速度を活かした(?)罠テロを持ちネタとしていたチキン野郎。野良こわい。

Twitter:suzushiro_arks

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR